minekaede2023’s blog

キンポウゲ科の沼に沈みましょう。

福寿草について①

 二回目のブログ更新です。

 今回は福寿草について書いてみようと思います。福寿草は,お正月の縁起物として薄べったい鉢に植わった物が年末に流通するのでご存じの方も多いかと思います。まずはオーソドックスな花の写真をぺたり。

佐渡フクジュソウ( Adonis ramosa)。大輪で見栄えのする個体です。

 お正月の鉢植えは加温して無理矢理成長させている上に,薄い鉢に植えるために長い根をバッサリ切っているのであまり綺麗に咲きませんが,本来はこんな感じの端正な花です。旧正月,つまり現在の2月上旬頃に咲くので縁起物として尊ばれました。暦の都合で正月が一月前倒しになったので,加温で無理矢理咲かせている訳です。縁起物も大変ですね・・・。

ミチノクフクジュソウ 秩父紅 秩父周辺からは様々な野生選抜系の園芸品種が生まれました

 福寿草はややこしい植物がいないので,以下標準和名のフクジュソウと表記します。フクジュソウ(Adonis ramosa Franch.)も,前回ご紹介した雪割草と同様,キンポウゲ科に属する植物で,花の色や形の変異が比較的起こりやすいのが特徴です。野生個体からの選抜や,交配による園芸品種の作出が古くから進められて来ました。特に,江戸時代にはたくさんの園芸品種が作出されました。しかし,残念なことに明治以後度重なる戦争,昭和期に生産地で流行したウィルス病,植生の変化により身近な植物でなくなったなどの理由で失われた品種も多々あると言われています。現在は平成福寿草の会山野草の専門店などが品種の維持,作出を行っており今後の普及が待たれます。

フクジュソウ 車屋白  比較的丈夫な白花品種です

 ただし,フクジュソウは春植物なので年間に光合成ができる期間が3~4ヶ月ほどと短く,交配して種子をまいても開花までに5年ほどかかります。そのため,新しい花を作ろうとするととても根気が要る植物でもあります。フクジュソウの栽培は,ほとんどが以下のようなもじゃもじゃな根の塊との付き合いになります。

秩父紅の22年目の大株です。何度か株分けをしていますが,8号鉢を占拠しています

 そりゃあこれを平たい鉢に押し込むのは無理があるでしょ・・・。当たり前ですが,フクジュソウの栽培は,この根と地下茎を如何に良く作るかが勝負です。花立ちや発色,種子の採取量,すべてに影響してきますのでここを見ている皆様は根っこはあんまり邪険にしないでやって下さいね。

 フクジュソウはメインで栽培している植物の一つですので,今後植え替えや施肥など日々の手入れについても色々書いてまとめて見ようと思うので,宜しくお願い致します。

 それではまた次回お会いしましょう!ちなみに次回は,洋物の予定です。お楽しみに!