次回は種子のまき方の最終回と言いましたが,また脱線します。スイマセン。
埼玉県深谷市の彩佳さんで開催された福寿草展の際に,アルペンガーデンやまくささんにも梯子して福寿草を購入してきました。また,ちょこちょこ通販で取り寄せた物もありますので,防備録がてら記載します。
彩佳さんで購入した花
まず,福寿草展の際に彩佳さんで購入したのはこちらの四鉢です。
今回は青梅市に自生するミチノクフクジュソウである青梅草の素心,武蔵の春,秩父山系産の吉田紅,横瀬の白と,七変化を購入しました。武蔵の春は,ミチノクフクジュソウなので交配用としては難しい銘品ですが,素心なのが良いところです。大体フクジュソウの素心は,数代セルフを繰り返すことで素心として洗練されるので,青梅草の維持を兼ねて積極的に実生をしていきたいところです。
吉田紅,横瀬の白はなかなか私の行動圏では見かけなかったので,今回購入できたのは望外の喜びです。横瀬の白はやや弱いと聞くので,維持には神経を使いそうです。
七変化は八重咲きの作出に良いかと思って購入しましたが,やまくさの店主さん曰く変化の方が萼片の色が入らないので良いとのこと。まあ銘品は今全般に希少なので,こちらも積極的に繁殖を図りたいですね。
アルペンガーデンやまくささんで購入した花
四方田緑花は埼玉県皆野町で発見された有望な多花弁個体ですが,今回はそのセルフが手に入りました。写真を撮影したのが夜間だもので閉じてしまっていますが,しっかり内部は花弁が多く入っています。四方田緑花の性質を持った子株の繁殖,交配親どちらにしても非常に有望で,早く株に力をつけさせ種を取れるようにしたいところです。
姫川素心は糸魚川市で発見された素心個体で,レモンイエローの明るい花色が身の上です。こちらもそのものではなくセルフ個体ですが,はっきり素心の性質が出ているのでこちらも交配親として楽しみな個体です。
最後は前述の姫川素心と,佐渡素心の交配株です。こちらも素心の特徴が良く出ていて良い花が期待できます。株に力をつけて,満作で開花させるのが楽しみです。
中越植物園さんで購入した花
さて,ここからは今季入手した福寿草です。まずは,1月の世田谷ボロ市で出品されていた中越植物園さんで購入した物です。
丹那姫福寿草は,済州島産のミチノクフクジュソウのことと思われるので購入してみました。一般のミチノクフクジュソウに比べやや小さくまとまるはずですが,果たして。花は今期の養分を根に回してもらう為に切除済です。余談ですが,ミチノクじゃなくてフクジュソウにも,小型の個体群が知られています。千葉県富津市宮里や成田市産の個体です。また,八街黄梅という銘品もあります。いずれも花,葉ともにコンパクトで面白い系統ですが,山野草の即売会などでも見たことがありません。いずれは入手したいものです。
榛名は,榛名山系産のフクジュソウでやや緑がかった花を咲かせます。かつて関東の福寿草生産の一大産地だったそうですが,その頃の名残で榛名山系産の銘品がいくつか存在しており,これもその一つです。実生系統の品種のはずですので,株に力をつけさせてもりもり種を取りたいところです。
伯雪は前述の吉田紅と同坪産と言われる秩父山系産のフクジュソウです。ただ,どうも坪取りの際白い花の個体すべて伯雪と銘打ってしまったようで,数タイプ存在するようです。このあたりがフクジュソウの銘品の名前が混乱する原因なので,せめて複数銘を与えるか,とびきり良い個体のみに銘を与えてくれれば良かったのですが・・・。
岩崎園芸さんで購入した花
続いては,札幌の岩崎園芸さんより通販で取り寄せた福寿草です。
柏尾紅は,野沢温泉の柏尾地区で発見された赤花の銘品です。秩父山系産ではないので,花の形が少し異なります。私は産地別に山野草を収集,維持しているのでこういった採取地がはっきりしている銘品はなるべく抑えたいと思っていましたが,やっと入手出来ました。個人的に,過去の山取品は栽培特性の把握のためにも元の採取地の情報はなるべくはっきりさせておくべきと思いますが,なかなか来歴を辿るのは難儀することが多いのが実情です。それは兎も角,交配親として有望な銘品ですので今後が楽しみです。
佐渡素心は,佐渡(花が大きく少数なのでおそらく大佐渡産)産の福寿草の素心タイプです。比較的大輪で見栄えもします。佐渡産は神奈川でもぐんぐん大きくなる強健な系統ですが,こちらは多少気を遣った方が良さそうです。交配親として有望で,かつ実生系統の銘品ですので,ガンガン繁殖を図りたいところです。
Yahoo!オークションで購入した花
最後はYahoo!オークションで購入した物です。
吉野は,青梅産のミチノクフクジュソウ青梅草の銘品の一つで,比較的早咲なのが特徴です。実生系統品種で,その方のブログによると発芽率も良好とのこと。かなり根の状態が良かったので,植傷みなどあまりなく活着してくれそうです。これも積極的に実生で繁殖を図りたい物です。
高遠桜は伊那谷産のミチノクフクジュソウの八重咲きです。残念ながら雌蕊,雄蕊ともに完全に弁化してしまうため,交配親にはなり得ないのですが銘品はまごまごしていると入手の機会すらなくなりそうなので思い切って購入しました。このタイプの八重はどんな小さな芽にも蕾を持ってしまうほか,開花期間が一月近くにも及ぶため株を疲れさせやすいので,摘蕾や花摘みなど気を遣う必要があります。
白宝は三媒体の福寿草とのことで,種はかなり付きにくいのですが,強健で株別れが良いと聞いています。福寿海並みに強健だとも聞きますので,今後が楽しみです。
車屋白は大正時代に秩父前衛の城峰山で発見された白花の銘品です。当方にもすでに一本あるのですが,確実に種子を採取するためにもう一本入手しました。残念ながらセルフで種を取っても白は滅多に出ないとされていますが,城峰山産のフクジュソウの系統維持にはなるほか,多花弁個体と交配すると良い花が出ると言われており,交配親としても期待できる名花です。
最近入手した福寿草は以上になりますが,産地のはっきりしている物や,銘品は今後も積極的に入手していく予定です。ある方から,銘品なんて中身もいい加減で(同一銘でも伯雪のように複数系統ある場合が結構ある)もう仕方ないよと言われましたが,後発の当方はそれでも交配親を得るためには銘品を集めておかなければいけません。今後もまた新しい花を入手したり,庭で開花した際は防備録を兼ねて紹介していきたいと思いますので宜しくお願い致します。
次回はクリスマスローズの入手個体をご紹介します。