minekaede2023’s blog

キンポウゲ科の沼に沈みましょう。

クリスマスローズについて①

 三回目の更新になります。

 前回,チラリと洋物と予告をしましたが,今回の植物は・・・?

それはこちら!

Helleborus × hybridus 一般に,交配種と呼ばれるものです。

 近年品種改良著しいクリスマスローズです!

 クリスマスローズも,花の色や形の多様性が高く,品種改良が盛んです。かつては緑がかった白や濁った小豆色,それらに濁った赤紫のスポットが入るかどうか,といった花が主流でしたが欧州で無茎系の野生種を使用して再度品種改良が進んだ結果,明るく済んだ花色や,蜜腺が萼片化したダブル,蜜腺が肥大し色づいたセミダブルなど,新しい花形の園芸品種が作出されました。それらが2000年台に日本にも導入されてから,一気に人気に火がつき,今日に至ります。以下に最近の花を何枚かぺたり。

どちらもHelleborus × hybridusです。
Helleborus × hybridusは種を播くと基本的に同じ花が咲かないので,メリクロン培養されているもの以外では品種名のある個体はほとんど無いのが特徴です。

 さて,これまで雪割草,福寿草山野草続きだったのに,なぜいきなりクリスマスローズなのか?実は,これまでの植物とクリスマスローズには共通点があります。それは,全部キンポウゲ科の植物なんですね。キンポウゲ科は北半球の温帯~寒帯を中心に分布するグループで,概ね北方寄りの分布をします。しかも,雪割草,福寿草クリスマスローズいずれも森林性の植物ですので,実は案外育て方も似通っています。実際,「雪割草について①」で取り上げたHepatica transsilvanicaは,野生のクリスマスローズと混生し,一緒に東欧で林床を彩る植物です。

左がH. niger,右がHepatica transsilvanica。東欧で混生して自生していたりいます。

 ですので,皆様の中にも「クリスマスローズは夏越しが面倒」と思われている方がいらっしゃるかもしれませんが,当たり前の話です。ホームセンターで手軽に買える庭の賑やかし扱いでは夏越しは大変です。しかし,意識を夏が暑がる森林性の山野草として切替えて,しっかり遮光などの対策を打って栽培すると非常に頑丈で手がかからない植物へと変貌します。

H. ligurucus。イタリアのリグリア地方に由来する,香りの良い野生種です。

H. bocconei。イタリア半島シチリア島に自生します。香りが良く暑さに強いのですが,過湿を嫌うのと耐寒性がやや劣る傾向にあります。

 ただし,案外と日本の気候への親和性が高いと思われます。万が一にも野外へ逸失しないよう,開花後の種子の管理はしっかりと行いましょう。種を取らない場合は,花をきちんと切った方が株が充実しますので,必ず行いましょう。

 今後種の播き方や植え替えについても記事にしていこうと思いますので,宜しくお願いします!

 さて,次回は最近某所で何の気なしにつぶやいたら思ったより皆様から反応戴きました,ミズゴケの養殖についてです。それではまた次回!