minekaede2023’s blog

キンポウゲ科の沼に沈みましょう。

クリスマスローズについて⑤ クリスマスローズの世界展へ行ってきました

 自分で勝手に種のまき方について纏めると決めたくせに,曲がりなりにもやっと書き終わってほっとしています。さて,今回は2月23日,24日に池袋サンシャインシティにて開催されていたクリスマスローズの世界展へ行ってきましたので,展示品や購入品の紹介をしたいと思います。それではどうぞ宜しくお願い致します。

展示会場について

 クリスマスローズの世界展は開始直後に一度行ったことがあったきりなので,およそ十数年ぶりになるでしょうか。人混みが苦手なので,混雑が予想されるアーリーを避けつつまだ品物が残っていそうな十時の入場を目指して,八時五十分には会場周辺に入りました。既にその時点で,アーリーには数百人の列が・・・。幸い一般チケットの入場列はまだ30人程度しか並んでいませんでしたので,そのまま十時まで待機しました。

 さて,まずは肝心の展示品をどうぞ!

ピンクピコティの多花弁咲きですが,これは圧巻ですね・・・!

こちらもピンクピコティのダブルですが,先ほどの株より落ち着いた雰囲気です。

暗紫色のダブルで,萼片の先のみ色が淡くなります。独特の雰囲気の花です。

どちらも今風の色のダブルで,かつ花が横を向きます。近年横を向く花や上を向いて咲く花も多くなってきました。

原種系交配のダブルです。圧巻の花付きです・・・!

左がアシュウッドナーセリーのブライヤーローズ,右がチベタヌス系交配種です。

うーん,2000年代頃から明るい濁りのない花が出始めていましたが,本当に華やかで洗練された花になりましたね。

会場でも人気を集めていましたね。中国に自生する H. thibetanusです。自生地によって花の色,模様などに差異があることが判ってきており,今後の実生増殖,栽培の一般化が待たれる野生種です。

 

H. croaticus(左)とH. dumetorum(右)です。野生種は線が細く,山野草的な雰囲気があり私は非常に魅力的だと思っています。

H .multifidus subsp. hercegovinus。残念ながら落葉性が強く,この時期には本亜種最大の特徴である細かく分岐した小葉を拝むことは出来ません。個体によっては花に柑橘系の香りがあります。

H. croaticus系の交配種。渋い花ですが,楚々とした魅力があります。

H. torquatusのダブルです。この個体ではありませんが,自生地で見つかったH. torquatusのダブルからパーティードレスシリーズは作出されました。

 交配種の大株だけで無く,野生種も展示があるのは嬉しいですね。やはり,皆さんの注目は中国原産の H. thibetanusが集めていました。 H. thibetanusは,中国が輸出を止めてから以前大量に日本に入ってきていた山取の輸入株の供給が絶えたため,高価ながら実生苗が流通するようになってきました。資源保護の観点からも,園芸文化の発展の観点からも良いことだと考えています。 H. thibetanusの場合,産地ごと(といっても,多くは省ごと程度の大変ざっくりした産地分けではありますが)に花の色や模様に差異があるため,ある程度系統ごとの差も維持された状態で繁殖が進む事が期待できます。今後の流通が楽しみな野生種です。
 展示会場でも存在感を示していましたが,原種系交配もダブルの個体やオーレアっぽい個体(といっても,オーレアは元々原種系の形質ですが・・・)なども出てきて魅力を増してきていますね。惜しむべくは,クリスマスローズは実生で同じ花を大量に生産することが出来ないため,なかなかこういった個体が流通に乗らないことですが・・・。

 本当はもっと展示株はあったのですが,人の多さに当てられて早めに離脱してしまいました。無念・・・。

購入品について

世界展で購入したクリスマスローズ

 さて,ここからはクリスマスローズの世界展で購入したクリスマスローズです。

い) 横山園芸で購入した株

 前回の神代植物公園クリスマスローズ展で,原種系ばっかりそろえたので今回は交配親にするべく交配種の良い株をと意気込んで来たのですが・・・。

フィールドナンバー付きのH. croaticus(左)とハンガリー産のH. purpurascens(右)です。

H. bocconei。実は家に典型的な個体がないのでお迎えしました。

H. liguricus(左)とH. abruzzicus(右)。H. liguricusは種取りを見越して二株購入。

H. multifidus subsp. mulutifidusH. multifidusまでしか記載が無いが,亜種ムルティフィダスは実生で増やしてみたい野生種だったので二本購入。亜種イストリアクスを売っていたので多分大丈夫だと思うのですが・・・。

ちょっと黒みは足りませんが,花形が良かったので。黒というよりは,グレーパープルでしょうか?パーティードレスが好きなくせに,交配種のダブルは幅の広めの丸弁が好みのようです。

 結局原種しか買ってない・・・!不覚!

 ただ,ここ数年原種の方が入手が困難なので,フィールドナンバー付きの個体などがあればそちらを優先したいのも正直なところ。悩ましいですね。ちなみにカゴの中の合計金額が怖くなって,アネモネ パブニナとプチドールを買わずに出たことを後日大変後悔します。

ろ) 野田園芸で購入した株

花を見た瞬間,買いだと思いました。野田さんは全体的にリーズナブルで良かったのですが,人がいかんせん多くてあまり見れなかったのが悔やまれます。

 本当はもっと通路の奥の方のオーレアなど気になっていたのですが,通路が人でいっぱいで・・・。会場,意外と空きスペースが多かったので来年は各出店ブースの通路をもう少し広く出来ない物でしょうか・・・?

 

 本当は他にもブースを見て回ってはいるのですが,値段と花でピンと来る物がなく,人にも酔い始めたのでここで撤収しました。

オザキフラワーパークで購入したクリスマスローズ

 会場を出て,乗り慣れない西武新宿線に揺られること十数分。どうせ東京まで出てきているのだからと梯子してオザキフラワーパークさんにお邪魔してきました。広い店内,圧倒的な宿根草の品揃え!素晴らしいですね!家が近かったら絶対に通い詰めてました。クリスマスローズもずらりと並んで・・・?いるのですが,ちょっと色あせ気味で。今年の暖冬のせいで全体に開花の進行が早く,色も変わりつつあるとのことでした。それでも何本かピンときた株がありましたので,しっかり押さえて参りました。

右のダブルは,咲き進んでいたため値引の対象でした。なんだかんだピコティの花が好きなので,購入。中央は花型,色ともにまさに今風の花かなと。なかなか豪華で良い花です。左の黒は,多少花型は凡庸ですが,自然光下ではなかなか色が良いのです。

 まあ家のクリスマスローズの開花が狂っている時点で予想は出来ていました。暖冬の年は色々厳しいですね・・・。

音ノ葉で購入したクリスマスローズ

 さて,翌日雪割草全国大会に行ってきたのですが,根津から音羽二丁目まで都バスで一本でいけるとのこと。坂を上れば,音ノ葉さんにいけるな・・・,ということで,梯子して参りました。

クレオパトラ(左)とビエラ(右)です。割と思い切って買いました。細かいフリルの入った多花弁も,緑の覆輪花も,美しい物ですね。
どちらも家にあまりない色なので購入。左の株は,退色が始まっていたためセール品でした。H. torquatusのダブルの血を感じたので購入してみました。
咲き進んでいるため背面の方が判りやすいのですが,模様が絞り状に入るダブルです。


 本当は,大和農園さんの小輪ホワイトダブルが咲き終わりで値引されていたんですが,今思えば買ってくるべきでしたね・・・。交配を始めようとすると,良い花なんていくらあってもこまらないものです。

全体の感想

 さて,世界展と園芸店を回ってちょっと思ったことがあります。前回の神代植物公園の時も思ったのですが,各ナーセリーが生産している花と,小売店でバイヤーが買い付ける花に若干の乖離があるような気がしています。正直,個人的にはバイヤーの好みの方が良い花のように思えるので,今後の流行の移ろいには一歩引いた目で見ていく必要があるかもしれません。最も,神代は雪で3日目まで見送り,世界展もアーリーを押さえていないので,良い花がさっさと捌けただけの可能性はありますが。

 

 次回は雪割草全国大会の展示と購入品についてご紹介致します!お楽しみに!