minekaede2023’s blog

キンポウゲ科の沼に沈みましょう。

クリスマスローズについて② 植替えの方法

 クリスマスローズについて②です。

 今回は,植替えについてまとめて見ようかと思います。

 

はじめに

 クリスマスローズは地上部の展開は主に3~4月のみで秋に場合によって新芽が出るかな,程度なのであまり意識されないかもしれませんが,秋から春までは旺盛に地下部が成長しています。特に無茎種の交配種(H.×hybridus)は,かなり根の伸長が早い植物です。そのため,定期的に鉢増しや植替えをしないと鉢の中が根でいっぱいになって弱ってしまいます。意識をして最低でも二年に一度は植替えを実施するようにしましょう。かくいう筆者も,それで何度か痛い目を見ています・・・。

スロベニア産のHelleborus atrorubensです。緑の花なのであんまりアトロっぽくないのですが・・・。2年植替えていないので,今年は用土の交換も兼ねて植替えます。

植替えの適期
 当地(神奈川県相模原市)では,概ね10月から5月くらいまでが植替えの適期です。とは言っても,根鉢を大きく崩して株分けなどの荒事を行うのであれば,年内は11月末まで,年明けは3月以降が良いでしょう。12月から2月までの冬期は,あまり根を触らない鉢増しなどに留めるのが安全でしょう。ですが,植替えの適期なんていうものは皆様が住んでいる町の気候によって異なります。このあたりは例年の気候を参照して,自分の栽培方法に合った時期を絞り込んでいくと良いでしょう。*1

これは①で出てきたダブルのゴールドピコティです。これも2年植替えを行っていませんでしたが,根がぎっしり回っています。

根を解す

 鉢から引っこ抜くと,このように根がガッチリと用土を掴んでいます。これでは新しい根が伸びる余地がありません。あまりこの状態で放置していると古い根が傷んだり,水が染込み難くなってくるので,解しましょう。解すとこんな感じになります。

再びHelleborus atrorubensです。こちらは解してみるとそこまで根の量がありません。

 余談ですが無茎種に属する野生種は,夏に落葉することが多々あります。そういった株を植替えるために抜くと,こんな感じになります。フクジュソウの根がこんな感じですので,意外と似ていますよね。

左がH. dumetorum,右がミチノクフクジュソウ 秩父紅の地下茎と根です。案外と似ていると思いませんか?

用土について

 使う用土は,水捌け,水持ちの良い用土を使用しましょう。というと,何を矛盾したことをと思われるかもしれませんが,水捌けと水持ちの両立は実は可能です。このあたりの話はまたいつか別の機会にまとめますが,当方では硬質鹿沼軽石砂,赤玉土を主体に腐葉土や粒の大きめのココハスクなどを混ぜています。市販の草花用の培養土ですが,水持ちは良いのですが用土の粒が小さく水捌けがあまり良くないのと,一度水を切らすと撥水してしまい水を吸いにくくなる物が多いので当方は使用していません。特に,温暖地にお住まいの方は避けた方が無難でしょう。

良く深く植えるなと言いますが,当然気候によります。夏場雨が少なく乾燥しやすい当地では,若干深めに植えないと株立ちが悪くなり,結果根量が減ります。

植付ける深さ

 植える深さですが,当地では夏場かなり乾燥するので若干深めに植えます。万が一にも地下茎の上面を露出させてしまうと,株立ちが悪くなるほか根量が減ってしまうためです。写真の株の場合,スリット鉢のウォータースペースと芽の先がほぼ揃う程度で植え込んでいます。あくまでもこれは当地の場合ですので,お住まいの地域の気候に合わせてこのあたりも調整をしてみてください。

Helleborus atrorubensの植え付けが終わりました。根の量が少なかったので,今回は7号のロングポットから6号のロングポットにサイズダウンです。

水やりについて

 さて,植え付けが終わったら水やりです。最近訳のわからないキュレーションサイトなどで,○○ml水をやるだとか霧吹きで散水だとか,植物の種類を問わずろくでもない散水方法を説明していますがあれでは駄目です!ハス口をつけたホースでもジョウロでも構いませんが,水やりの鉄則は鉢底から水が流れ出るまで,です!基本的には乾燥地の植物であれば水やりの間隔を短く,適潤地の植物であれば間隔を短くすることで湿り気を調節すると良いでしょう。(ただし,原種シクラメンの様に水の要求量自体が少ない植物は,水やりの回数自体減らした上でさっと湿らす程度の散水と鉢底から流れ出る程度の散水を使い分けることがありますが,ケープバルブなどを除き例外的です。)特に最初の水やりは肝心で,崩れた用土の粉を洗い流したり,乾燥した用土に給水させる,根と用土を密着させるなどの意味があります。目安として,7号ロングポットの場合は鉢底から透明な水が流れ始めて20秒ほど水をやれば,まあ鉢内に十分水が回っているでしょう。

 

終わりに

 だーっと書いてしまいましたが,クリスマスローズの植替えはざっくりとこんな感じです。本当は株分けも触れたかったのですが,今年は割る株がいませんでしたのでまた来年以降ですね。

 次回は,せっかくこの時期ですので山野草の種まきについてまとめようかと思います。ではまたお会いしましょう!

*1:書籍の栽培スケジュールは東京準拠の場合が多く,そのまま適応してもあまり良いことはありません。せっかくの植物栽培ですし,色々自身でも工夫してみましょう。